七色のセーター
初霜がおりた 息も凍る寒い朝
バス停に 七色のセーターを着て佇む
美しい人がいた
「カラフルできれいなセーターですねぇ
手編みですか?」
私が話かけていると
その人は嬉しそうに笑って話してくれた
これはいろんなものをほどいて
編みなおしたセーターなんですよ
たとえばね
このレモン色の所は
子供のころ母に編んでもらったセーターで
その下の紫色のところは
祖母のベストだったんですよ
ピンク色の所は
夫からプレゼントされたカーディガンでね
袖の深緑は父のマフラーだったんです
それから・・・
背中の白と紺色は
姉のお下がりのセーターだったんですよ
袖は?
袖は
水色の袖は
九つで亡くなった息子の
お気に入りのセーターだったんです
だから 時々こうやって・・・・・
と その人は袖にほほをあてた
「こうやって、目をつぶると 一人ぼっちになってしまったことを
いっ時 忘れられるんですよ...」
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